2013-01-01から1年間の記事一覧

隠して

頭が悪すぎてクソみたいにかんたんなことしか言えない 何かを引用したつもりになることしかできない 索引すら引けない さいきんますます涙もろくなってきてもう光を見ただけで泣いてしまう 何かひとつでもなくなったら困る 裏も表も怖いのでどんどん平たくな…

まほう

しあわせになるんだしあわせになるんだしあわせになるんだ だいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ

てんぺるたつとる

冬が来る はやくにげよう どこかしずかで 安全なところで なにかをつくって暖をとったり なにかをつくってよそって食べたり なにかをつくって歌ったり なにかをつくって抱きしめたり なにかをつくって体にあててみたり なにかをつくって眠ったり なにかをつ…

ほんとうのさいわい

お腹がすいているとうれしい。お腹がすいて、もうお腹がすいた以外のせりふがでないくらい、お腹がすいて、でもこのあとにしばらく我慢すれば、ごはんにありつけるというときのすっきりした気持ちは、人類生まれてここまでやってきたなかでも、最もぜいたく…

あっちの水は甘い

愛知県のふとんにいる さいきんは何か日記を書いても、これは作品になるかもと思ってブログにアップしなかったりして、あとで見て、そういうものはわたしの見栄だとかこれはよくできたみたいな奢りが染み付いてしまっていて、結局消してしまうので、全然いみ…

天国に霜おりた

掌が乾いている 粘土をゆびの腹でこすり続けていると、皮と肉がだんだんずれていって爪が内側にきてしまう 本当はそのほうが好都合だ わたしは掌が乾いているのでいつも隠している 湿った掌の人と握手をするとき、恥ずかしくて、すぐに腕を引っ込めたくなる …

くちびる知りませんか

くちのまわりに粉をつけた子供がわたしのほうを見ている もうなにも考えたくない つかれた でもやめる方法が分からなくてこんなところまできてしまった 秋祭り、という単語にむかし好きだった絵本だとか赤ん坊ほどあるきのみだとかそういったものを揺り動か…

これは絶望ではない

セミはどうやらすずめやハトよりも早起きで、5時前にはいつも鳴き始める。カーテンがないのでいつもセミの声に気付くころには窓が薄い青色になっている。窓には三角のシールが越したときから貼ってあったようでそこだけ三角形に黒い。いつもなんだろうと考え…

ばいえる

記憶の中の湿ったところを恐る恐る押しながら生活している。エスカレーターのベルトに突っ伏して息を吐いたら、とても大きな孤独にぶつかってしまって困った。初めて入る不釣り合いなほどおしゃれなカフェでポットのコーヒーを頼んだけれど半分も飲み終わら…

見ておきたかっただけよ

ほんとに 頭がよくなったらいいか悪くなったらいいか分からないまますべてがどんどん進んでく わたしが滑り落ちる あせっているかもしれない 頭のいい友人の書く素晴らしいテキストを読んでは自分の頭の悪さ知識のなさを悔やみ頭のわるい友人の美しいダンス…

はやく行こうよ

風邪をひいて薄暗い部屋で眠っているときの遮光カーテン越しの真昼の光を思い出すと、みぞおちのあたりがクッと縮むような気持ちになる。中学校のころはよく仮病を使って学校を休んでいたんだった。寝床で体温計にくちびるをあてて37度にするのが上手かった…

わたしたちはそして

真冬に真夜中の住宅街で迷子になって、さむいしかなしくて泣きそうになったときに 遠くに灯りが見えて、近くまでいってみるとパン屋がパンを焼いている灯りだった。すこし開いた扉から焼きたての食パンの白い腹が湯気を立ててならんでいるのが見えて 思わず…

オホーツク

ギターが弾けなかったからうたが歌えなかったから絵がかけなかったからダンスがヘタだったから器量がよくなかったから機械に弱かったから こんなことをしてるわけじゃないんだよ

あなたをハズレと呼ばない

もう何年かして たとえだれもわたしのことを覚えていなくても いいんだ わたしが美しくあればいいんだ しんじゃってもいいんだ ぜんぶぜんぶ許すよ

お数珠野郎

うかれてる、切実じゃない わたしはいっぺん本当の孤独や歓喜を知るべきかもしれない いつまでもむつむつこんなところでいじけたりニヤついたりしてんの、どうなんだ 怒れ もっとだめになれ 砂食べろ 生きることに生ぬるいままじゃだめだ 摂取から排泄まで自…

いたいたいっ

なんでまたこんな一筆書きみたいなところに着いちまったんだ

愛で宇宙が救えるか

基本的に愛に飢えているので愛っぽいもの見ると愛って思ってキラキラしちゃう 愛ってほんとうはたぶんとても実用的なもの 例えば鍋敷きみたいな ダサくていじらしくて、少なくともビジネスよりはいいもの 宇宙は救えないけど朝ごはんくらいにはなる

泣いてみせて

彼が奥さんと別れたときのことをよく考える。彼が奥さんと別れたとき、ちゃんと悲しくてよかったと思った。大切な人をちゃんと失って、ちゃんと悲しくて、よかったと思った。彼がもう奥さんのことをあまり考えないことが悲しかった。理由はわからない。わた…

どっかんどっかん

上手にできるようになってうれしいことなんていっこもないや。ラジオがさっきから3時間以上おせんべいの通信販売をやっている。

チョコレートはあなたを幸せにしてくれる

猫舌のくせに火傷しそうなくらい熱い飲み物が好きなのでちょっとならマゾヒストの気持ちが分かる、嘘だけど。例えば年期の入ったダサい柄のマグカップに並々と熱い牛乳を注いでも、表面に膜ができなくなるころにはもう不味いような気がしてきて電子レンジに…

うしなわれた話

渋谷の繁華街を足早に、バイト先へ向かって歩いていたとき、ベビーカーが道端にぽつんと置かれていてドキッとした。気になって振り返ると、中にはベビーカーに乗るには大きすぎる男の子が座っていて、うんと上半身を伸ばして何かを見ようとしていた。顔は見…

シークレット・モーテル

ただわたしはいつまでも彼女のことを考えていたくなかったしそのことを時間が経ったからといって誰かに話すとも思えなかった。それはわたしが行動を起こすには十分すぎる理由で、ただわたしはかわいそうでいることができなかったのだと思う。そのときのこと…

冬休みが死んだ

寒くて湿っぽく薄暗い土地で生まれ育ったせいか、暑くてからっとした土地にいると落ち着かない。そういう場所をロマンチックだと思うことができないので必然的にわたしがなにかを書くとき、冬休みのようになってしまっているのではないかと心配になるときが…

今週のお題は「節分」です

タイのチェンマイというところにぼんやり来てしまった、ここはとても暑くわたしはすでにすこし日本の冬が恋しい。 重たいコートを着ているとなにかとくべつなものに守られているような錯覚がある。わたしは肌があまりきれいではないので、あまり肌を露出しな…

あなたのうわずみ

祖母の訃報を新幹線の中で聞く。午後1時すこし前。色素が抜けて白子か妖精のようになっていた祖母の顔を滲むように思い浮かべてさっと消す。死んでしまうということがどういうことなのか、祖父のときは死に目に会えたにも関わらず、未だによく分かっていない…

彼らは分かりません

ねむいからという理由だけで毎晩眠っていることに それ以外の何でもないよろこびがあります 睡眠はとても崇高 ふと わたしたちのまわりに 延々続くお布団の大海原があるように思われます すいみんという名前の恋人と 結婚するんです わたしは これから死ぬま…

かなしみはいつもわたしのベッドで横たわっている

収縮する島 あぶれた天使 かなしい歌 要らなかったたましい 必ず崩れる砦 あの娘と呼ばれた女の子のことをわたしは何も知らない うわずみが減る わたしはわたしを手放した 霧散する幽霊 しるしをつけておかないと いいえ わたしたちはそして

11/12

寝起き頭で1限の授業を受けていて、うつらうつらとしながらふと目をやった小さな明かり取り窓のさんに、雪が積もっているように見えて驚いた その驚きが終わるか終わらないかくらいのほんの一瞬、嘘のように降る雪の、かなしいくらいドラマチックな灰ねず色…